これも人によっては歪みだと思う。

ユーミン50周年CDを聴いたところです。私はユーミンが大好きだから、先日発売されたこのCDも予約までして買いました。それがベスト盤だとしても、ユーミンの新譜を買うたびに今度はどんなユーミンを聴けるのだろう、これまでよりも生々しい音で聴けるのではといつも期待します。

この新譜の販売にあたって、松任谷正隆はインタビューで「(昔の)音は現代の感覚に合わせることも必要、10年ごとにリマスタリングしている」と言っていました。昔ユーミンを聴いていた人も、若い世代で聴いたことのない人も、過去の曲を現代の耳に聴きやすくすることは大事で、現代の感覚に合わせてリミックスすることで、その曲を違和感なく受け入れられるのだと言う。

僕が聴いた1980年の曲には、当時の空気感が満ち溢れている。しかしこのCDがした事は、1980年の空気に2022年の空気を混ぜ込んでしまうのだ。僕には二つの空気が混じり合わずに、それが時代の歪みを感じてしまうし、これもオーディオで言うところの歪みと言っても良いのではないかと思いました。

ユーミン50周年CDで、聴いたのは、1980年6月に発売されたアルバム「時のないホテル」の中の「セシルの週末」と「5cmの向こう岸」。ベースとベードラの音がいじられているから、リマスタリングではなく、リミックスということになるでしょう。ベースとベードラが現代的な音にイコライジングされているので、バランスを取るために高域を持ち上げている模様。1980年の風の中に、2022年の風が吹いている。僕は1980年にタイムスリップを目指してオーディオを調整しているから、それが上手くいくと1980年の風が吹きます。このCDは、1980年の風の中に2022年の風が吹いてくるんです。これは気持ちの良いものでは無いですよね。時代の位相がおかしくなる訳ですから、これは僕にとっては歪みに感じるんです。レコードで聴き直してみると、自然な音で、中身がギュッと詰まっている。ユーミンの声が生々しい。

一方、オーディオをやっていない人にとって、レコードの音は黄昏た音に聴こえることもあるでしょうから、このCDでユーミンを楽しんでもらえればそれで良のだど思います。