父の日エピソードにご応募頂きましたのでご紹介します♪
	 
	就職のため故郷から遠く旅立った日。
	駅前の中華料理店で家族最後の晩餐中、「全ての山を登れ」がBGMで流れていた。
	食事を終え、駅の待合室で座っているとアナウンスが響き始めた。
	「ああ・・電車がもう来るな。」とため息をついていたところ、
	父が隣で背を向け静かに座り込んでいるのに気づいた。
	一言「ありがとう」を・・・そう思い、
	何度か呼びかけたが父は背中を見せたまま振り返らなかった・・・
	電車の時間は迫ってくるが胸が詰まって声が出ない。
	私は父の背中をじっと見つめながら席を立ち、旅立った。
	数年が経ち、孫を連れ帰省した際、実家で父と歴史や先祖の話にふけっていたところ、
	  「過去より未来ば視ないかんたい」
	と悟された。
	その父も他界し数年が経ったが、仕事で凹んだ時、生きた心地がしないほどの
	窮地に追い込まれ喉がカラカラになった時、私を支えて来てくれたのは父の背中だ。
	我が子も就職した今、今度は影から自分が支えていく番だ。
全ての山を越えて、命の連鎖は、それが何かは分からなくとも大きな夢を目指していく。
	天国の父が無言でそう語りかけて来たのを今、実感した。
	 
