【蘭歌】音楽の生命力がアップした

蘭歌

新製品「蘭歌」の先行レビューです。

投稿者:tao@東京さん
使用製品:蘭歌


「蘭歌」の「人柱」に応募して数日すると、その小さな新製品が自宅に届いた。
早速開封して、まずはCDトランスポートとDACとを繋いでいるデジタルケーブルに使ってみることにした。
使用しているデジタルケーブルはBNC端子が両側に付いたとても細いケーブルである。
使用方法について「出力側のほうのケーブル端子に使用した方が良い・・・」とHPには記載されていたので、CDトランスポート側のBNC端子の上に1個取り付けた。
BNC端子は形状が円柱状であるので、蘭歌の底面がすべて密着することは物理的にできない。

蘭歌

試聴のために使用したCDは、ブルックナーの交響曲第5番で第1楽章を聴いた。
演奏はティーレマン指揮ミュンヘン・フィル。
第1楽章は低弦のピッツィカートで厳かに始まる。
ヴィオラ、ヴァイオリンが弱音で入ってきてしばし揺蕩った後、突如として金管のコラールが強烈に吹き上がる。
音楽の激しい抑揚を伴った行進が、ブルックナーらしい厳粛な空気感の中で、じりじりと進んでいくのであるが、その行進の足取りが、よりしっかりとしたものに感じられた。
「音楽の生命力がアップした」・・・とても抽象的な表現であるが、そういう印象が頭をよぎった。
何かが付け加えられて変質したという感じではなく、何らかの要因で音をマスキングしていたものが取り除かれて、本来あったものがより鮮明に見えてきたという変化であると感じられた。

約20分ほどの第1楽章を良い気分で聴き終えて、「もう1個あるから、これを同じデジタルケーブルのDAコンバーター側の端子にも取り付けてみるか・・・」と思いつき、それを実行してみた。
これでCDトランスポートとDAコンバーターを繋いでいる1本のデジタルケーブルの両側のBNC端子に「蘭歌」が付いた状態になった。
この状態で、再度ブルックナーの交響曲第5番の第1楽章の冒頭部分を聴いた。
その変化は低域により鮮明に表れた。
低い音がさらに深く沈み、滲むことなく諧調が取れた質感になった。
「ダブル使い」のメリットはしっかりと感じられた。

続いてアナログでも試してみることにした。
使用しているトーンアームは、SMEのSERIESVである。
専用のフォノケーブルの端子は「DIN5pin端子」でL字形状をしている。
その端子に「蘭歌」を取り付けた。
こちらはデジタルケーブルのBNC端子と違って平面部分があるので「蘭歌」の底面はしっかりと密着した。

蘭歌

試聴のために使用したレコードはバッハの無伴奏パルティータ第2番が収録されているもので、ヴァイオリンはJennyAbelである。
録音は1983年、テルデックのシュプリンガースバッハ教会で行われた。
そのため教会独特の残響音が魅惑的である。
デジタルケーブルに使用した時と同様に、音楽の生命力が上がるような感覚がある。
その変化の質は単に出てくる音のエネルギーの総量が上がるというものではなく、音楽の芯の部分がしっかりとするというか・・・
人間の体に例えるとインナーマッスルがしっかりとして、体の表面に近い筋肉はリラックスしている状態という感じである。
なので音の表面は強張ることなく柔らかく感じられるのであるが、こちらに伝わってくるエネルギーが、しっかりと確かなものになる。
その結果として、音楽が心に浸透してくる度合いがスムースで深い。

デジタルケーブルでも効果のあった「ダブル使い」であるが、フォノケーブルはアームに取り付けられている「DIN5pin端子」は端子が1個であるが、その後ケーブルはLとRに分かれ、フォノイコライザーに接続される際にはLとR分かれた二つのRCA端子となる。
「蘭歌」は2個しかないので「ダブル使い」はできなかった。

「もしかして電源ケーブルの端子でも効果があるのであろうか・・・」と思いつき、フォノイコライザーに接続されている電源ケーブルの端子に余っている1個を試しに取り付けてみた。
フォノケーブルの端子に1個、フォノイコライザーの電源ケーブルの端子に1個という変則的な「ダブル使い」である。

第1曲のアルマンドを聴いた。
表面の筋肉のリラックス度がさらに上がったような気がした。
芳醇な音の響きの立ち上がりが、より柔らかくより高く立ち上がるような雰囲気があり、「電源ケーブルにも効果がありそうだ・・・」と感じた。