エンジェルファーでルームチューン(村井さん)

作り手が予期せぬ使い方で盛り上がるGe3掲示板

 正月早々、神戸の街を訪ね、その足でGe3にも寄った。その日のあらましはすでにきささんが掲示板(1月5日「村井さんとエンジェル・ファーの実験」)に書いてくれているが、あの内容は大げさでもなんでもない。あえて言うなら、ボクの態度が「多少偉そう」に書かれていることぐらいか。(ボクは、あんな高飛車な話し方しないです。はい)
ボクは何も、エンジェル・ファーの実験を強要しようと押し掛けたワケではない。せっかくGe3に行ったのだから、Ge3掲示板だけではよくわからないことを直接質問してみたかった。そして、可能であれば、簡単な聴き比べを体験してみたかった。
エンジェル・ファーに関しては、首都圏に住むボクの仲間たちも、早くから関心を示していたが、ボクが神戸を訪ねた頃は、「ルームチューン材としての使い方」で、掲示板がやけに盛り上がっていた。
何!? ルームチューン? きささんは、ルームチューン無用論を唱えていたのでは?
掲示板をよくよく読んでみると、エンジェル・ファー「ルームチューン材としての使い方」は、ファンの間から自然と湧き上がってきたノウハウのようだ。ボクは、ここいら辺がとても重要であると考える。きささんが何かを考案する。そして、彼が指導する通りの使い方でのみ効力が発揮され、皆がその教えにひれ伏しているようでは、とても「健全なオーディオ文化」とは呼べないからだ。

SB−10000を見るのは、ボクも初めてだ

 ボクがGe3に到着したとき、試聴スペースにはテクニクスSB-10000がでーんと鎮座ましましていた。ユニットごとに発音源の位置を合わせるリニア・フェイズの元祖、テクニクスSB-7000の兄貴分である。何でも、淡路島の某倉庫に死蔵されていたらしい。
「よかったなぁ。お前。ここに拾われて来て」
大型ホーンをなでてやると、フォークリフトで車に載せられ、明石大橋を渡って、神戸にやって来るときのこいつの気持ちが伝わって来る。「やったーっ!! これで俺の実力を、21世紀のマニアに披露することができるぞ」とかなんとか叫んでいたに違いない。きっと。
しかし、その大きさ、ホーンの威容に比して、実際出している音の方はどうにも貧相…。
「とりあえず、当時のテクニクスがねろうてたウェルバランスを聴こ思て、そのままにしてあるんよ」
きささんはそう言うけれど、はたしてこれがGe値120を超えるハイエンド大型システムの音なのだろうか。大型ならではのスケール感が感じられない。レンジの広さが感じられない。しかも、中高域になにやら安っぽいくせまで付いていたりする。欠点を無理やり矯正されて、ひねくれてしまったような音調。
様々なGe3グッズを貼り付け、塗りまくることで、隠された底力が出て来るものと思われるが、それはまた次回来るときの楽しみとして、今回はやはり、「エンジェル・ファーの有無」をしっかり聴かせてもらうことにしよう。

きささん、なんか乗り気じゃなさそう

 「あのう。エンジェル・ファーを使ったルームチューンの実験って、すぐできます?」
「でけるよ。そやけど、この部屋そんな嫌な響き気になる?」
「いや。部屋の現状に不満はないんだけど——」
きささんがエンジェル・ファーを最初にセットしたのは、SB-10000の入力端子。
「ウチのスピーカー(ルーメンホワイト)は、入力端子が縦に並んでるから、上に置けないんですよ」
「そういうときは、うまいこと縛り付けたらええんよ。ただし、ゴム以外のもので」
ふうん。そういうものか。
しかし、ボクは自宅でケブタを愛用しているから良いようなものの、フツーのマニアならここで引いちゃうだろうなぁ。白い毛がびっしり生えた小さな毛皮を、スピーカーの入力端子に置いたところで何が変わるというのか!?
しかし、実際エンジェル・ファーを置き、さっきと同じCDを再生すると、ボクときささんは顔を見合わせざるをえなかった。さっき気になって仕方なかった「中高域の嫌なくせ」が2割方減ったのだ。何で?
「ウチは、高価なタップとか使わんから、次は(この安い)タップに付けてみるよ。これで、プレーヤーやアンプに送られる電流が、すべて浄化されるはず」
「そんなバカな」としか言いようのない理屈である。しかし、エンジェル・ファーを付けたあと、同じCDを再生すると、さっきまで窮屈に鳴っていたスピーカーが、これまた何割か自由に歌い出す。温度感も、心持ち上昇。
このあと「ルームチューン編」については、詳説するまでもなかろう。すでにきささんが書いてくれている内容の通りだからだ。(正直に書けば書くほど、大げさになってしまうし)
ただ、エンジェル・ファーの数を増やせば増やすほど、きささんの顔が「まじ」になっていったことだけは書き添えておく。要するに、「作り手の予想を、はるかに超えた効果」(想定外)だったということだ。

従来のチューン材とは根本的に異なる作用だ

 「そんな小さな毛皮が、ルームチューンに効くワケないだろう」とおっしゃる方には、「ボクもそう思います。はい」とお答えするしかない。
誰が考えたって、エンジェル・ファーが壁の振動を吸収したり、不要な帯域を吸って、理想的な室内音響を作り出すなんてことはありえない。しかし、Ge3の壁や天井に貼ったエンジェル・ファーは、《劇的》と呼んでよいほどの効果を発揮した。
後日、きささんからもらったメールには「何をこれまで我慢していたのか」という言葉があった。「わが家の音をこれほど改善するグッズを半年以上前に開発していたのに、わが家に貼らずにいたなんて」という後悔がにじみ出るひとこと。もちろん、ボクが帰ったあとも、エンジェル・ファーは貼り付けられたままになっているようだ。