驚天動地の体験!! (HHさん)

大地の試聴は驚天動地の体験でした。
それまでオーディオの常識と思っていたことが見事に瓦解したのですから。

拙宅オーディオルームは地面を1.5メートルほど掘り下げて打設した鉄筋コンクリートの耐圧板をそのまま床として使用しています。SP台から床を見た場 合、剛性は100?間隔で鉄筋を入れたコンクリートそのものなので上に根太や床を張った場合に比べて圧倒的に高く、質量はほぼ無限大と見なせるはずです。 SPにはいわゆるメカニカルアースが効いている状態なので、どんなオーディオボードであれSPと床の間に挟んでも何もいいことはないと思ってきました。

Ge3の諸製品はずっと愛用し、それらの驚くほどの音質向上効果は人一倍知っていたはずなのに、大地の導入にいまひとつ積極的になれなかったのは、上記の ような環境ではきっと効くはずがない、効いたとしても大したことはないだろう、という思いがあったからでした。きささんに勧められてとりあえず試聴だけで もしてみよう、と決断はしたものの正直に言えばセッティングの途中でもこんな面倒なことしても良くて引き分け、場合によっては悪い結果になるのではないか という疑念が頭から離れませんでした。

ところが音質評価用にいつも使っているディスク*を かけた途端、今まで気づかなかった音楽の構造が聞こえてきたことに気づかされました。単にヴァイオリンの旋律だと思っていたパッセージの、ファースト・ ヴァイオリンの下にセカンド・ヴァイオリンの和声伴奏が聞こえたのです。このようなことは今までどんな機器変更、チューンをしても起こらなかったことなの で、我が耳を疑いスコアを買いに走ろうかとすら思いました。
しかし情報量、解像度の高さと引き替えに音楽全体としてはどことなくバランスが悪く、ぎくしゃくとした感じに聞こえたので、この時点では大地の評価は、たしかに解像度は高くなるけど音楽を聴く道具としてはどうかな??? というやや否定的なものでした。

翌日午前中、別のCDを聴き、オーディオ人生最大の驚きを経験することになりました。今度は有無を言わさぬ圧倒的な音です。前日不満を感じたバランスがい つの間にか整っていただけではなく、楽器のまわりに空間(あるいは空気)があるということ、楽器が鳴っているのではなく実はまわりの空気が鳴っているとい うこと、をまざまざと感じさせる音になっていたのです。当然と言えば当然のことですが、かつて再生された音楽を聴いてそれを感じたことは一度もありませ ん。
楽器のまわりの空間が再現されると、たとえば大編成のオーケストラがフォルテでぐわっと迫るような感覚も再生されます。SPという点ではなく、広大な空間 が面として聴き手に迫ってくる感覚です。大型のSPを使って音圧を上げてもうるさくなるだけで、こういう空間感覚をもたらしてはくれません。大地の導入を 即座に決定したことは言うまでもありません。

オーディオの金科玉条であったはずの剛性と質量に、「意味」という力を持つGe3が圧勝したのは畏るべきことでした。きささんの言う「わけわかめ」状態で す。たしかに鉄はコンクリートよりも剛性において勝るかもしれませんが、大地の裏面保護用にカーペットを敷いたのでカーペットを含む全体としては必ずしも コンクリートに勝るとは言えません。今回の試聴では、Ge3の底力をあらためて痛感しました。そんなの効くはずがない、という逆プラシーボ(あるいは合理 的判断、経験的判断)があってもまずは試聴してみることをお勧めします。そして(ほとんどむりやり)試聴を促してくださったきささんに感謝!

使用SP:ベルテック社製ベルズ、台はバック工芸社製の倶楽部員。


モーツァルト/レクイエム ベーム/ウィーンフィル
ブラームス/ピアノ4重奏 ルービンシュタイン/ガルネリQ
ブラームス/ピアノ協奏曲1番 ルービンシュタイン/メータ/イスラエルフィル
テラーク・コレクション Vol.6