内面の質的な変化や価値観の変容というのは、外的要因による大きなショックから突然に起こることがある。
自分について言えば、阪神大震災がその一つだった。
当時住んでいた所は、新幹線の線路が落下した近く。
突然目が覚めたーーーその瞬間はなぜ目が覚めたのかわからなかったが、後から考えるに、最初のドンッという衝撃で目覚めたのだろうーーーと思ったら、遠くの方から「ゴォーーー」という音が聞こえ、それが一気に近づいてきたと思ったら、全てが大きく揺れ始めた。
縦揺れとも横揺れともいえない、グルグルと振り回され、シェイクされている感じだった。
その時間があまりにも長く、これで全てが終わるんだと思った。マジに。
その時に一番驚いたのは、自分が一瞬で死を覚悟したことだった。
「こんなにもあっけなく人は死ぬんだ」と思うと同時に、受け入れていたのだ。
まさに生と死は隣り合わせということを実感した。
あの瞬間に自分の中で何かが大きく変わったのは間違いない。
物事の優先順位が変わったし、それはどう生きるかに直接関わっている。
だけど、同じような地域で、同様の体験をしていても、そこから受けるものは人によって全く違う。
中には、変わらない人もいる。
震災当日の朝、電車は不通。
そんな中、線路を歩いて、いつものように通勤した人がいた。
緊急事態に対応しなければならない職業というわけではないのに。
線路を歩いていたら、知らない男性に「こんな時に何をしているんだ!」と怒られたそうだ。
だが、その人は何故怒られるのか理解できなかったみたい。
何かの飲み会で同席した人だったけど、自分の正当性を話したかったようだ。
何が起こっても動じない、ともいえるのかもしれないけど・・・
動じないというよりは、現実を受け止められなかったという感じがした。
この人は極端な例かもしれない。(逆の方向で私も極端なのかもしれないが(^_^;)
震災以降、友人、知人、知らない人、いろいろ話をした。
同じ体験から受け取るものが人によって違うのは当然ではある。
だけれど、感覚がこんなにもかけ離れているのか!ということに驚き、しかもその割合が意外に多いことに驚いた。
(もちろん、私なんかよりずっと深く大きく変容した人たちもいる。)
価値観の変容や内面的な成長にはとても大きなエネルギーがいる。
自分でコツコツ変わろうと思っても、なかなか出来ることではない。
しかし、外からの大きな衝撃にはそれほどのエネルギーがある。
ただそれは、大概マイナスのエネルギーであることが多いと思う。
出来れば避けたいものだ。
避けれるなら避けたほうがいい。
でも受けてしまったなら、蓋をせずに「マイナスからプラスへの変換」のチャンスにしたいと私は思う。
コケてもタダでは起きたくないのよね。(^_^;)